負電圧の罠

センサーなどの出力によっては負電圧出力というものがあります。 しかしPICマイコンのADコンバータは正電圧しか受けれません。 このような場合、以下のようなオペアンプを使った加算回路で電圧をシフトします。 出力に-2Vを足して反転しています。

さてここで電源-7V, -2Vはどのように作れば良いでしょうか。 -7Vは以下のようなチャージポンプ式の負電圧生成ICというもので作るのがお手軽です。 +7Vから-7Vを作ることが出来ます。

このとき注意してほしいのが、コンデンサの極性です。 GND側がになっています。 コンデンサの両端にかかる電圧のうち高い方が+です。回路図上のGNDだからといってそちらがーとは限りません。 意外と間違えやすいので注意しましょう。

電源-2Vは電源-7Vから負電圧3端子レギュレータを使って作るのが一つの手です。 このときもコンデンサの極性に注意しましょう。

さてこの入手性の悪い負電圧3端子レギュレータは本当に必要でしょうか? -7Vを基準にすればGNDは相対的に+7Vであり、-2Vは相対的に+5Vです。 つまり以下のように正電圧の3端子レギュレータでできるのではないかと思います。

誰だってそう思います。僕もそう思います。そしてこの回路単体では実際にそうなります。 しかし、現実は無情。 この回路を実際のオペアンプ回路に接続すると3端子レギュレータが壊れます。 なぜなら正電圧3端子レギュレータは電流を吐き出すことしかできないからです。 逆に負電圧3端子レギュレータは電流を吸い込むことしかできません。 今回のオペアンプ回路では-2V電源は電流を吸い込むことになるので、負電圧3端子レギュレータでなければならないのです。

実はこんなことをしなくても、もっと簡単に-2Vを作り出す方法もあります。 それは抵抗による分圧です。

しかし抵抗分圧により作った電圧は電流を取り出すことで変動します。 これは-2V電源が内部抵抗を持っているのと同じことです。 これは分圧抵抗の並列合成抵抗になります。(これをテブナンの定理といいます。) つまり上の分圧回路は以下の回路と等価です。

最初のオペアンプ回路を見るとわかるとおり、もともと-2Vには10kΩの抵抗をつながなければなりません。 なのでこの内部抵抗もどきが丁度いい働きをします。 したがって最初の回路は

のようにすることができます。

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